遠藤 憲一 氏
現在組対法裁判は急に大きく悪い方に向かって動き始めようとしています。裁判所がまだ冒頭手続きの一部しか終わってないことに業を煮やして、週一回の期日指定を試みてきました。そして「期日間整理手続」も検討していると言っている。これは「公判前整理手続」と全く同じで、密室で全部決めて文字通り三日であげようという腹が裁判所に見え隠れしている。それができなければ、週一回期日を入れて、一気に決着をつける、「裁判員が始まる前に終わらせたい」といっている。
こういうでたらめな迅速裁判攻撃をかけてきている。これでは防御なんて到底できません。求釈明で組対法のデタラメ性を満天下に暴き出せたと弁護団は思っております。用件があいまいで、誰が何をしたかは問題ではない。要するに裁くのは組織である。組織が悪いことをした、そして組織の一員であると言ってしまえばその人を処罰できる。個人の具体的行為がいらなくなってくる。まさに戦前治安維持法の目的行為罪を彷彿させるものです。
一九二八年戦前治安維持法が改悪され死刑が導入された、この年に陪審制が開始された。当時と政治状況も似通っている。一九二八年は3.15共産党弾圧事件、対外的には山東出兵とか、張作霖爆死事件、これはいままさにソマリアに派兵しようとしているという時代状況も全く同じです。まさに治安維持法型の弾圧裁判である。これからの社会をどうするのか。ここで踏みとどまってやるのか、戦争の道を拒否するのか、それとも一気に転落していくのか、まさに今が本当の分かれ道ではないかと思います。戦前治安維持法弾圧に匹敵する今の弾圧が組対法弾圧である。何が何でもこの弾圧を粉砕して行くべく弁護団として精一杯がんばっていきます。
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